11(独り言増量編)

♪ちっともキレイじゃないし、不器用な女よ、それでも私を愛してくれるの?あなたを信じて良いの?それともからかってるの?好きになってもいいの?それとも遊びなの?♪ 冬の温度 by The LOVE

 

喜びに浮かれて横断歩道をダッシュして、アネ様にたしなめられたりしながら魚民入店。またぞろファーストカスタマーか?と思ったけど、既に何組かは席についていた。

 

飲み物の注文はアネ様生中、僕リラックス効果があるとかなんとかいうワイン。

「ワインを開けて飲んだ後ってどうやって保存しているんですか?」

「へっ?普通にコルクしてうっちゃっておいてますが」

「それだと味が落ちませんか?」

「僕はそんな味なんてようわかりませんから。で、今はどうされているんですか?」

「しかたなく毎回全部飲みきってますけど」

「えっ?ワイン一本を毎回飲みきってるんですか?」

「はい」

「よく体もちますねぇ。尊敬しますわ」

「えへへ」

 

飲み物が来たところで乾杯。

ア「ところで何に乾杯なんでしょうか?」

「マイバースデーイブイブ……に」

「ウィ」

 

食べ物はモツ鍋、チャンジャ(?)くらいしかたのまなかった。なぜ?支払いを気にしてかな。僕はお腹が減ってないけど、アネ様は減っていたはずなんだけど。

クリスマスディナーの前に藤原さんちに寄る時の服装についての話なんですが」

「へ、服装まで考えるの?」

「考えますよ〜。毛皮のコートを着ていこうかと思ってましたが、そういうシチュエーションでは似つかわしくないでしょうから。お前はバブルの頃のOLか?みたいな」

「う〜ん、でもそういう冗談で笑わせるってのも面白いと思いますけどね。まあ本気でいく場合にはだめですね。アネ様が毛皮のコートを着てこられた場合、僕はそれに合わせて、あの毛がもじゃもじゃのコートを着ていかにゃいけんのかいねぇ。ズボンはジーパンしかないんだけどいいのかな?」

「私もジーパンですよ。ミニスカートという手もありますが…」

「よし、それでいこ!」

「だめですよ。もうそういうのをはけないです」

「あら、そう。ミニスカートって、いつ買ったものなの?」

「うんと、2ヶ月前かな?」

「めっちゃ最近じゃん!」

「そうなんです。私としてはいいかなって思うんですけど、世間の人の目には毒でしょうからはきません」

「じゃあ買ってから外にははいてでてないの?」

「そうです。一人でファッションショーをして終わりです。自己満足の世界ですね」

「もったいない。コスプレとして割り切って、是非ともディナーの時にははいて来て下さい」

「わかりました」

「イエス!(計画ではなく、自分の趣味の世界にはいってるね)ちなみに逆に清楚な感じで行く場合にはどうされるつもりだったんですか?」

「その場合は藤原さんに合わせて、汚いカッコをして行こうかと」

「ちょっとまったぁ〜、僕に合わせて“汚いカッコ”ってどういうことなのさ。僕の内面からにじみ出る汚さ?」

「藤原さん、あまり明るい色の服もってないでしょ?原色系を」

「あ、汚いって“地味な”ってことなのね。了解了解。あ、でも僕持ってますよ。黄色とか、青とか。こないだも職場に黄色いフリース来て行ったら、よく似合ってるね、って言われました」

「藤原さんは顔が派手だから派手な服が似合っていいですね」

「派手かなぁ?う〜ん、職場で今度アンケートとってみます。今度服を買いに行った時はそういった原色系の服買ってみますね」

「けど、おばあちゃんを騙すのって罪悪感があるなぁ〜。そういうところで罪悪感を感じるから、私結婚詐欺はできないんですよね」

「うん?そんな罪悪感を感じるところではないと思うんですけど。冗談わかる人だし」

「ならいっかなぁ。しっかし、すごいこと考えますよね」

「そう?おばあさんへの面白いクリスマスプレゼントになると思ってね。暇だといろんなこと考えられるんですよ」

「えっ、でも暇だとかいいながら、最近よく「焦ってる」って言ってらっしゃるんじゃなくって?」

「む、すごいとこついてこられますね。そうなんですよね。なんででしょうかねぇ。今までこんな風な精神状態になったことってなかった気がするんだけど。今までも実はそういう状態だったけれど気づいていなくて、今はそれが見えるようになってきている、のかもしれません。が、単純に自由にのんびり過ごす時間が少なくなっているってことも事実だったり」

「へぇ〜、なんか暇そうなんですけどね」

「一般的な人と比べるとそうなんでしょうけど、僕の中ではやること、というよりやりたいことが依然より多くなっているんですよ」

「それって良いことなんですか?」

「どうかなぁ〜。いろんなこと、一般的なこと、服とかに興味を持てるようになったことで、普通という概念が服を着て歩いていると比喩された僕がさらに普通さに磨きをかけていけている、という点では良いのですが、興味が分散されて、本当にしなくちゃいけないことに注力できなくなる可能性が出てきている、という点では良くないですね」

「つーか、服に興味もってんの?」

「昔より格段に持ってます <(^´)>

「その服装で言われても(苦笑)」

「なんかね、楽しいことが増えてきているんです。楽しさを感じられる閾値が下がってんのかもね。それで楽しさを求めて外へ外へと意識が行くようになって実際外へ遊びまわっているから時間がないって感じるのかな?」

「けど遊びまわれるってことは物理的には時間があるわけでしょ?」

「そうなんだよねぇ〜。結局、心が落ち着いていないだけなんだろうね」

 

アネ「アホらしい話はさて置き」

「さて置かれたよ」

「竹仲絵里さんの切り抜きを一万二千円で落札されたんですよね」

「よくぞ聞いてくださいました。それがね…」

「あ、確認だけなんでしゃべらないでください」

「いや、しゃべる。語らせてぇ〜」

「じゃあ語ってください」

「いや、そんなに語ることもないんだけどね」

「(ちぃっ#)」

「(あたふた)今手元に資料がないから正確なことは言えませんが、それだけに僕の印象に残ったことを話せると思うんだわ」

「どういうところが印象に残ったんですか?」

「まず値段(苦笑)」

「(苦笑)それは切り抜きの感想じゃないでしょ」

 

噛んでも噛み切れない、僕並みに歯切れの悪いモツや、僕の春並みになかなか来なかったちゃんぽん麺を食べながら、次へ

あ、僕の春はまだ来てないや(泣)