しばらく進んだところで、車のボロッチさにやさぐれて、タバコをくわえ、火をつける。

「(ふぅ〜、アンニュイだわ)」

と一息ついたところで車についている灰皿を引き出す。するとそこには口紅のついたタバコが。どうせ自分で口紅つけてタバコをくわえて作っただけなんだろうけど、暇つぶしに騙されたフリを装ってみる。

「ちょっと、これなんですか?」

「なにって、タバコの吸殻なんじゃない?」

「口紅ついてますけど。藤原さんのお母さんって吸われないんですよね。」

「すいません」

「そのネタ(ヒトナツの恋参照)はもういいですけど。」

「さあ、誰だったかなぁ?」

「誰だったかなぁ、ですって?藤原さんの車でしょう?だれか女性を乗せてたんじゃないの?」

「ふふん、ふふん。あ、一番星だ!」

っと、ここまで付き合ってあげれば満足でしょ。ふぅ〜、バカの相手はつかれるとまっしゃい。

 

ラメールが見えてきたところで、

「僕あのラメールには裸の大将の劇を見に行って以来行ったことがないっすよ。山下清役やってたあの芦屋雁之助って「は、裸の大将のイメージが強くな、なりすぎるから、や、役をおりるんだな、うん。」って言って降りたみたいですけど。あ、あの紙細工みたいなのがラメールです。あの丸っこい構造物のうちの一つがガスタンクになっていて、ふいの災害の時でも加茂町の有名なスポーツであるターゲットゴルフの施設へエネルギーの供給ができるようになってるんですよ。」

とかぬかす。あいかわらずしゃべっていることの90%は嘘でできてやがる。

 

駐車場が見えてくる。見るとガラガラかと思いきや結構埋まっている。落語なんて聴く人いるんですねぇ〜。

「あっ、駐車場入ってますね。蛇かってくらいにガラガラかと思ったんですが」

「(無視)」

「(やばっ、はずした)ところで一葉さん(仮名)はラメールって来たことありますか?」

「いやないですね。もしもこんなこと(落語を聴かされるという災難)がなかったら一生来ることなかったかもしれませんね」

「ですよね。しかしこの建物も古くなるってえとよろしくなくなりそうですね。修繕費がかかりそうですし。」

「そうですね。すでにあすこらへん塗装が剥げ落ちてますけど。そういうさびれた感じ、私好きなんです。私って廃屋マニアなんですよ。写真集とかも持ってますよ。」

「僕の車も廃屋みたいにボロボロですが、ハイオク入ってますよ」

「(てめえはオヤジ入りすぎなんじゃ)あははははっ」

 

とかと外面菩薩、内面般若な感じで話をしながら受付を済ませ会場に入ってみると平均年齢50歳くらい。最低年齢者私。次点、となりにいる馬鹿。私たちここに居てもいいのかしらん。

「とりあえずすぐに出れるように出入り口に一番近いところにしましょうね。聴いてて面白くなかったらすぐ出ましょう。」

「ウイッシュボーン(昔NHK教育で夕方にやっていたコメディの題名、主役の犬の名前)」

 

一人目登場。24歳の若いのが出てくる。私とタメだ。

「えー、まいどありがとうございます。なんや、お茶汲み人形みたいなやつがでてきたでぇ〜、という人もいると思いますが、れっきとした人間です。こう見えても、落語界のえなりかずきと呼ばれております。え〜、落語というのは映画などと違いまして、お客さんからコチラが見えるのはもちろんのこと、コチラからもお客様方の様子がよう見えるんですが、私を見る顔っていうのが決まってましてな、「あらぁ、あんなに若いうちから修行してぇ」っていうような感じなんですね。けどわたくしこう見えまして、まあどう見えているかようわかりませんが、24歳なんです。今年当たり年なんですね。と、実際の年齢を聞かれると、「24ならもっとちゃんとせえやぁ〜」って言われるんですがね。

 

 

うつらウツラ。いけない、寝かけてた。

「どうでした?続けて見ますか?」

「えっ、すみません。聴いてませんでした。」

「(唖然)あ、次始まりましたんで、これ終わったらでますか。」

 

二人目登場。終了。

 

「さて、でますか」

「えっ、いいですよ。もう少し見てても」

と言ったけど、有無を言わさず外へでる。

「まだ見られてても良かったですのに」

「え〜と、でも聴いてなかったわけじゃないの?」

「いや、思ったより面白かったですよ。」

「まじで?でじま?ま、今からまた入るのもなんですし、海行きますか。」

 

いいですよ

っつってんのに

でやがるし

手に負えんこと

はなはだしいわ

 

島根町に行くっていうのに斐川から平田の山の中を通って行く。

島根町には友達がいて、その友達の子供が珍しい病気であり名古屋に通っていることを話すと、

「あ、僕もなにげに珍しい病気に子供の時かかったんですよ。」

「えっ、頭の病気ですか?精神的な病気ですか?なんにせよそのどちらかでしょうね?」

「…、足の病気でヘルペス病だったかなんだったかって病気だったんですけど、なんかね、2万人に一人かかるものみたい。1年間に発症する人は600人でさ。大腿骨の上のほうが壊死して、何年も車椅子とか松葉杖生活をしないといけない病気だったんです。けど2ヶ月で治りましたけどね。昔から運だけは良いんです。後は何もないですが。」

「へぇ〜、脳だけじゃなくって、足も悪くされてたんですね。」

絶対頭の病気だろうと思ってたのに…。頭も悪いし、足も悪いしで不幸な幼年期を送ったことだこと。

 

 

次は〜