この世はフィクションをもとにした虚構である。―オサム=ダァダイ=フジハラ

 

まいどお運び下さいましてありがとうございます。

しかしこの、世の男性ってのは化粧品や服ってものにたいそうお金をかけないものですね。

こないだアッシー(編集者注:死語ですよ、姉さん)の一人と一畑百貨店とサティーに行ったんですが、まあ、このなんですね、行こうとしていた店がなかったわけですが、せっかく来たから化粧品の店をいろいろと見てまわったわけで。そうしますってぇと、一階に前に雑誌で見かけて気になっていた化粧品の店があったわけですね。雑誌にはそこの化粧品の使用者の言葉として、「かなりいい」って書いてあったわけ。で、店頭でニキビの痕を消すやつがあって、試しにつけさせてもらって二言、三言話をしたところで

(やっぱ買いだわ、三菱商事を2万株、はらたいらさんに5千点)

ってな感じで、

「あっ、買います。3500円ですか」

ってことで、さっとクレジットカードを出したら、そのいっしょに来たアッシーときたら

「えっ、もう買うんですか?早くないですか、お嬢様!?」

とかって焦って取り乱すもんだから、店員さんが失笑してしまったわ。買いたい物をサクってカードで買うときの優越感がかなり半減。はぁ〜、これだから貧乏人はっ!さらに続けてこんなことをほざく、

「僕だったら欲しいって思ってから2週間くらいその欲しいっていう気持ちを寝かせてからそれでも欲しかったら買うっていうスタイルですけど」

「てやんでぇ〜、こちとらお嬢でぇい。欲しいと思うたら買って、少しでも迷うようならもうそれっきりっていうスタンスでい。2週間も待っていたら買いたいって気持ちがくさっちまわい。べらぼうめぇ」

って言ってやったわ。

それから今度は服を見たいなんていうから、見に行く。まあ、私くらいファッションに気づかっている人間のアッシー(だから死語なんですって)なんだから、もう少し服装に気を使ってもらいたいって思っていたから、殊勝な心がけね。で、どれだけみるかと思ったら、店を競歩のスピードでぐるって回って

「あっ、もういいですよ」

っていうもんだから

(ちょっ、まてやこら。そんなスピードでまわってなにがわかるん?だいたいてめぇひとっつも服を手にとってねえじゃん?!)

という発言をオブラートにつつみ、つつみして、

「あっ、もっとゆっくり見てまわっていいですよ。」

って言ったら

「いや〜、めっさ高いんで見るまでも無くいいです。」

「(むかっ!)」

「なんてね、よっしゃ、気合入れて見るよ。あっ、この服なんてナウなヤングにバカウケしそうなトックリセーターやね。」

とかって言って見てたけど、結局3分たらずで終わってましたな。終わってますな。

 

高いっていうならってことでサティーに行こうと店から出たところで、アッシーの足元からする足音にアッシの堪忍袋保存会会長も圧死してしまいました。この私と歩くのにツッカケ!!しかも見たところ、庄原のザ・シューズでワゴンセールで外に放り出されていて780円で投売りされていたのを、それにもかかわらず買うか買わないか逡巡した結果、ようやくかったって思われるツッカケ!!服っつうよりまずは靴をなんとかせにゃ〜と思考を転換。イケテる女性は転換が早いってもんよ。

「藤原さん、服もだけど靴買いましょうよ」

って言ったら

「うん。だいたいみんな最初は「服を買いないや。」って言うけど、ふっと足元を見た後でか知らないけど「まず靴買いないや。」って言うね。なんでかなぁ〜。」

「(ツッカケつっかけてるからだYO!)…靴屋にも行きましょうか。」

ってやりとりしたから靴屋に行って靴を買うのかと思いきやまた軽く眺めて値段に感心しただけだった。

「私男の子にはナイキのスニーカーはいてもらいたいんですよね」

と言ったら、

「あ、そうですか。これですね。たっかいなぁ。なんでこぎゃんにたかいだや?」

「ブランドだからでしょうか」

「靴買うとしたら長距離用の陸上シューズかなぁ。ここにはないからいいっす」

「(だとこら!ナイキの靴買わんのか!)」

あほさ加減に呆然として、女性物の靴を物色してから男性の靴売り場に向かって歩き始める。

ヤツは結局靴を買う気はないのだな、と結論付けながら近づいていくと、おっ、何かを試着してる!ようやく何かを買う気になったか!?と良く見たら子供用の靴が足にはまるかどうかを実験しているだけだった!あほかっつうの!!!勢い良く突っ込みすぎて「!(エクスクラメーションマーク」)の在庫がなくなるっつうの!!!!

服売り場にも行ったけど、結果は言うまでも無く、杉良太郎には似ても似つかない流し目で流し見ただけ。

 

んで、結局あんだけ歩かせといて何一つ買わなかったんですよ。まあ、なんですね、ほんっと男って安く出来上がってますね。その余った分のお金でなんか買ってもらいたいものです。でもけちだから何も買ってくれないんでしょうけどねっ。その時買った化粧品がつけてすぐ実感できるくらいにいいものだったから、今度はそこのメーカーのメンズの化粧品を買ってつけてもらって、少しは醜男ぶりを修正していってもらいたいものです。

 

さて、(バンバン)時は917日の昼過ぎのことなりて、

「こんにちは〜、こんにちはー、留守ですか?家財道具一式持って帰りますよ〜」

とかという馬鹿声が玄関から聞こえてくる。するとオカンが出て行って応対する。

「ああ、藤原君かね。ごめんよ〜。今用意しとるけんね。今日はどこに行くの?」

「へぇ、加茂の方へ少々。(まさか落語を聴きにとまではいえませんやね)」

「なにぶつぶつ言ってんの?それで、あの車で来たの?」

「ええ、あの車で来ちゃいました。」

(げっ、またあの車かいっ!あつうてかなわんわぁ。まあその暑さ対策のために、腰が見えるようなTシャツに短パンはいて用意してたんだけどっ)

「中古は古ていけんわぁ。私のもがたがきとっていけんにぃ」

「左様でございますか」

などと話をしているとこで玄関に出る。

「あら、今日の相手はあなただったかしら?男がいっぱいいすぎて今日来るのがだれだったかわからなかったわ」

と男の多さを強調するために言ってやりました。

とかいいながら家をでまして、車に乗り込む。

「きゅきゅきゅきゅきゅ〜〜〜〜〜、ブルゥン」

「いつもですが、エンジンがかかるかどうか不安になりますね。」

「うあ〜、だいじょうぶっすよ。バリバリっすよ。」

いやいや、エンジンのかかりにくさは全然大丈夫そうに見えん、っていうか聞こえんし。まあとにかく加茂のラメールへ向かって進む。

 

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