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―おい、スティーブン!コショウくらい用意しとけっ!
「こんな本買っちゃったんですけど」
「え、恋愛指数?どういう本なんですか?」
「心理テストみたいなんをやって、IQみたいな感じで恋愛に対しての能力を指数化したものをはじき出し、どの部分が高くて、どの部分が低いのかを知り、これからの恋愛に生かしていく、みたいな本。自分がどういうタイプなのかを知ることもできます。ちなみに僕は平均値が133でした。こんな失恋しどうしなのにIQ(知能指数)よりも高かったらどうしようかと思ってましたが、まずは良かった。にしても133は高すぎると思いますけどね。恋愛関係維持力の低さに少し納得ってとこでしょうか。といっても115。僕は「おかまいなしタイプ」ってタイプにカテゴライズされました。ここも納得。と、話したところでそろそろ数字でましたか?」
「…私100ありませんでした。まあ、占いでも心理テストでも悪い結果は信じないんでいいんですけどっ」
「数字なんて気にするこたぁないっすよ。ちなみになにタイプでした?」
「自滅タイプでした。なんだかなぁ」
「よっ!でも、確かなものでない恋愛に関してのテストなんて確かなものでないでしょうからね」
「恋愛で苦労してきたことが垣間見えるようなセリフですね」
「それは置いといて。今日アネ様がステキな靴を履いてこられてたんで思い出しましたが、靴に関して心理テストがありましたよ」
「へぇ〜、どんなんですか」
「靴を選ぶ時に何を一番重要視するか、1値段、2見た目、3履き心地、4機能性、だったかな。どれを重要視されますですか」
「私は見た目かな、って、だいたいなにがわかるのか分かりそうなテストですね」
「かなぁ〜。恋人を選ぶ時になにを重要視するかってやつなんだけどね。見た目だったら見た目ってわけね」
「だっしょ〜。私クラスになれば当然わかってよ。ちなみに藤原さんはどれですか?」
「今は履き心地か、機能性かなって思います。昔は履き心地って答えてました」
「履き心地ですか。そしたら恋人には一緒にいる時の居心地のよさを求めるんですかね」
「それくらいソフトな感じならいいですけど、SEXの相性、ってことになるみたい」
「(笑)」
「ちなみに機能性だったらなんなんでしょうかね。扱いやすさ、とかでしょうか」
「ずいぶん前になりますが、ナンパ師の先輩に「夢の中で、とある女性と先輩に会いに行って、喫茶店にて3人で話をしていたんだけど、先輩が言った一言で、僕泣いてしまいました」って話をしたことがあるんです」
「はぁ。なんて言われて泣いたんですか?」
「いやあね、とっても恥ずかしい話なんですが、まず、一緒に行ったとある女性っていうのは僕が好きな女性なわけ」
「うん」
「で、シチュエーションとしては、こちらの女性と付き合ってますって感じの報告を2人でしに行ってるわけで」
「はいはい」
「そんでもって、言われたことっていうのが「コイツは頭悪いけど、悪いヤツじゃないけん、まあ、仲良くやってよ」と言われたの。それで感動して泣いちゃったわけなんです」
「へぇ〜、夢の中のことよく覚えてますね」
「う〜ん、で、新事実ですが、これ、寝ている時に見た夢ではなく、僕の白昼夢なんです」
「えっ、白昼夢って?」
「「非現実的な空想」っていう意味ですが、車を運転しながら、ふっと想像して、勝手に自分ひとりで感動して泣いたんです。ちょっとやばいね。けど、そういうシチュエーションになったら、そう言われるだろうなって思うんです。で、言われたら絶対うれしくって泣くだろうなって思いました。言われたセリフは字面だけ見るとバカにしているみたいだけど、自分のことをよく分かってくれてるっていうか、温かい目で見てくれてるなって感じ。すべて想像なんですけどね(笑)」
「へぇ〜。で、とある女性って誰ですか?」
「夢の中の話なんで覚えてません」
「白昼夢でしょ?」
「さてさて、話も煮詰まってきたところでそろそろ出ますか?」
「話そらしてんじゃねぇYO!」
この日頼んだ飲み物は、僕はなるべく早く、安く、体内に入れる液体容量を少くなくして酔おうと思い、アーリータイムズのシングルストレート、など。アネ様はグレープフルーツサワーを2杯、3杯レモンサワー。すべて私が搾りました。
ちなみにこの時レジでもらったくじのうち、その場でドリンク券が1枚あたり、ネットから応募したうちの1枚で食事券があたりました。運が良い。
つうことで、「新聞を車に取りに行った時、車ごと来ればよかったじゃない、ボケッ!」っと温かい罵声を浴びながら、SATYの駐車場へ歩いて行き、車で帰る。