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―人はその人が見たいと思う現実しか見ないものだ。byユリウス・カエサル
「私、藤原さんが怒ったら、たぶん泣いちゃうと思います」
玉湯のあたりに差し掛かったところで唐突に(だったかなんかの話のつながりでだったかは、1週間前のことなのに覚えていないが)言われる。この言葉を放たれた時のアネ様の状態が、僕の腕に自分の腕を絡ませながら甘えた感じだったら「おいおい、いつのまにそんなことになってんの?」って思われるところでしょうが、残念ながらそんなことにはなってないのでご安心を。
「えっ、なんで?」
「だって普段怒らない人が怒ると、すっごい怒るか、黙りこむかするでしょう?たぶん耐えられないと思います。藤原さんはどっちですか?」
「僕は黙りこみますね。黙りcomってサイトを作りたいと思ってるくらいですから」
「そうなんですか、陰険ですね」
「まあね。ぼく、すっごいネクラですから」
「え、そうなんですか?どっから見てもそうは見えないんですけど」
以下話してもないし、話す気もなかった話、暇なんでつづってみました。
「まあ、そこがネクラのプロってもんですね。はなっからネクラって見えるんなら、ただ暗いだけですから。心の内側、深層の部分で暗く、でも外へは明るい感じで接している、っていうのが真のネクラってもんですよ。外へは明るい感じで接していた方が、内側で安心して暗くいられますからね」
「ネクラの道は複雑そうですね。てーか、その発言からしてかなりのネクラと拝見しました」
「そりゃどうも。重ねて言わせてもらうと、僕すごく気が短いですよ。その自分の気の短さに「なんで僕はこんなに気が短いんだ!」って簡単に腹を立てられるくらいに」
「それもそうは見えない気がするんですが」
「そうですか。短いですよぉ〜。そう見えないなら僕の作戦というか戦略は成功しているのかな。」
「なんでそんなことするんでしょうか」
「初顔あわせの8で発言しているように、自分の内側をあまり見せたくないっていうのがあるんだと思います。いま外に出しているパーソナリティーが本当の自分なのか、まあ本当のっていう表現もどうかと思いますけど、内側のが自分なのかは良くわかりませんが。でも、いま外側に作り出している自分っていうのは、昔の自分が求めていたパーソナリティーなんですよ。で、満足してます。けど周りにはこちらの意図している印象を与えられてないことが多々ありますけどね。とんでもない印象を持たれたり、隠そうとしていた部分が丸見えだったり」
「おおむね意図してないことになってると思われますが」
「かなぁ。で、僕の目標から観ると、今の自分は自分の求めていた自分で、実際、昔と比べると比較にできないくらいに楽しく生活できていて満たされてはいるけれど、結局のところ作られた自分だなって思うわけ」
「あはん?」
「これからは自分を全て受け入れられるようになって、作られた自分じゃなくって本当の自分になる、っていうのが自分の最終的な目標です。ヨガではそんなこと勉強っていうか修行しているんですけどね。来年からは通信教育始めよっかなって思ってます」
「ま、てけとーにがんばって下さい」
「献血会場でマンガを読みながら笑われてたってメールにありますけど、外で読んでてもおかしかったら笑いますよね。友達には否定されたけど」
「笑うねぇ。けど、一応他人の目があるから、声は出さないですね。見ている人がいない場合にはニヤリと顔を変化させるところまでは自分の許容範囲内ですが、自分の制御を超えて笑うような状態になったら、一回本を閉じて空を仰ぎますね、あのメールで述べているように」
「そうですか。私は声出して笑っちゃいますね。だって笑っちゃうじゃん」
「あら、そうなんですか?一人で、じゃないですよね」
「人と一緒にいる時ですよ」
「ならいいかなぁ。一人で電車に乗っているときに声を出して笑っちゃうと、自分ではおかしくって笑っていても、周りからはおかしい人だって恐れられますからね」
「最近金価格が騰がっているんですけど」
「へぇ〜、いいですねぇ〜、金買っちゃいますか?良くわからないけど」
「1ヶ月前から金の鉱山を持っている、住友金属鉱山株を持ってて、24万円くらい儲けたところで売っちゃったんですけど、ここ3日でさらに瞬間高値で30万円くらい値上がっちゃって、損したわけではないのに損したなぁって思っちゃいましたね」
「これだからトーシロは困るわ。私が売ってもいいよって言うまでまっとかな」
「えらいすんませ〜〜ん」
とか何とか言っていると目的地の魚民に到着。道路を挟んで反対側にある駐車場に停める。車から出る時に、渡す予定のマンガを居酒屋に持って入るかどうかを尋ねる。すると
「必要ないですよ。大抵のマンガなんかよりも藤原さんの話のほうが面白いですから(笑)」
3枚目で売っている僕にとって、この言葉ほどうれしい言葉はありませんやね。なんちゃって。そういう意味じゃなくって本当にうれしかったです。
エレベーターを待っている間に吉田戦車などについて話す。好きだって言われてた気がしたけれど、実際には持っていらっしゃらないよう。それなら伝染るんです。を持って来ればよかった。車に積んでた本は男爵校長、ぽけっとタマちゃん、わるがキッズ、だったかな。