31(←いいかげん数が多すぎるわっ!)
店「おまたせしました。しょう油ラーメンの方」
ぼ「…あ、はい」
店「? はいどうぞ。そしてこちらが味噌になります」
アネ「はい」
店「ごゆっくりどうぞ」
食べ始める。
アネ「さっきらーめん持ってこられた時、何でいつもより変な顔してたんすか?」
「いえね、びっ栗らーめんのあごだししょう油味を頼んだのに、しょう油らーめんって片付けられると、ちょっと淋しいなって。僕は単なるしょう油らーめんじゃなくって、びっ栗らーめんのあごだししょう油味を頼んだんだって言いたいです。なんかせっかく特別なもの頼んだ気がしてたのに、一気に普通のしょう油らーめんに格下げされちゃった感じ」
「はあ。ところでこの麺のなかの黒いのってなんですか?」
「びっ栗らーめんなので栗ではないかと」
「あ、栗ですか。そう言われてみると、栗の味がしますね。私、シジミの貝殻かと思ってました」
「シジミの貝殻が入ってたらおどろくわ。まあカルシウムが補給できて良いかもしれませんが。それにしても、栗の味がわかるんですね。僕はあんまわかりませんが。やっぱ僕って味音痴ですね」
「そんなんじゃ山岡さんになれないぞ」
「いいっすもん。山岡さんになるのはもう諦めましたから」
栗の味はともかく、ぼくはこのらーめん結構おいしいなって思いました。
スープを飲み干してから出る。ラーメン代はおごってもらっちゃいました。つーか、車の座席につけるシートも買ってもらってますね。ってことは、SHOTでなにか良い服があったら買ってくれたのだろうか?もったいないことした。とかと、売店でびっ栗らーめんを手に取りながら考えて、ふと、アネ様の方を見る。
「なにらーめん持って物欲しそうな顔してこっち見てんですか?それ欲しいんですか?じゃあ買いますよ」
「いえ、特に欲しいってわけでもないですが…、ってもうレジに持って行ってるし」
相変わらず買い物が早い。僕なんかとは大違いだなって感じる。
買い物の仕方について尊敬の念を抱きながら、道の駅を出発。車は54Rの山道を静かに登って行く(うそつけ!)。
「ところでフジハラさんって、芸能人だったら…」
「竹仲絵里!」
「えっと、芸能人だったら誰が好きですか?アーティストじゃなくって。好きなアーティストはもう耳にタコができるくらい聞きましたから」
「竹仲真琴さん以外ねぇ、なかなか盲点をついた質問だね。う〜ん誰だろう?どんなんを好きだったらいいんでしょうか」
「なんつう質問してんの?そうですね、フジハラさんだったら清純派が好きそうな感じがするんですけど」
「(笑)清純派ねぇ、なんでそうなんの?」
「フジハラさんが、中身はいろんな意味で葛湯のようにドロドロなんですけど、一見するとさわやか系なので」
「(失笑)人間のクズ、かつ、ドロドロだから葛湯な中身なわけね。そっか、さわやか系だったのか、わし」
「だから、清純派が好きかなって思ったんですけど。シモネタばっかり言っている人は駄目なんじゃない?」
「あ〜、そういうのは少しあるかもね。あ、そうそう、松浦亜弥が好きでしたね」
「やっぱそっち系ですか」
「歌詞のね、♪はしゃいじゃって良いのかな?の“良いのかな“とか、納得できぬ感じの”ぬ“って部分にはまりましたね。つんくやるなって思いました」
「そういうとこにかわいさを感じるんですか?これから私も“良いのかな?”とかって言おうかな」
「う〜ん、むずかしいんですよねぇ〜」
「あ、やっぱ人格的に合わないみたいな?」
「いえね、知り合いで「良(よ)い?」とかって聞いてくる人もいるんですけど、なんか違うなって思うんですよ。現実では使えないんじゃないかな?それにアネ様はそのままで十分かわいらしいですから、そういうことをムリに言われる必要はないですよ」
「まあたぁ〜、そういうこと言う〜。なんでそう正直なんですか?」
「うん?」
「(怒)」
右に曲がると川本町というところを通り過ぎる。
「右に曲がって川本町に行っていいですか?」
「(黙殺)」
「クリスマスの時の感想を親に聞いたんですよ、あれ面白かった?って」
「そしたら?」
「なんがおもしろいことがあるもんで、だってさ」
「あらら」
「でね、僕らがどういう関係だと思うか、ということをそれとなく聞いたんですね」
「付き合っているって思われてましたか?」
「残念ながらだめでした。祖母もね」
「なぁ〜んだ、計画失敗だったね」
「いやいや、僕の中の裏企画、「アネ様と楽しくクリスマスを過ごそう企画」は僕の中では大成功でしたので」
「一人でそんな企画立ててたんですか?っとに裏がある人間って手に負えんわ。あの日は母がどなったりしてたせいで泊まりにくくなっちゃってすみませんでした」
「いえいえ、そんなことないよ。で、なんかいっとられた?」
「仮にも社員となる人を泊めることは良くないっていってました」
「仮にもって(笑)。ですかねぇ〜」
「なので、これからは私がフジハラさんちに泊まるって親に言う予定です」
「(笑)それはいいね。そう言ったら「あなたがそんなところに泊まるくらいなら、やつを家に泊めさせなさい」って言われるでしょう。また、何も言われないのなら家で泊まられればいいし」
「でもフジハラさんちのお母様恐そうだし」
「大丈夫大丈夫。外面(そとづら)はいいから」
「その外面見て恐いって思ったんだけど」
「むー。ま、こないだみたいにほめとけば大丈夫ですって。クリスマスので気づかれたと思いますが、おだてなどにはめっさ弱いですから。おだてられたりほめられたりってことが少ない人生を歩んでいたのかもしれませんね、ちょっとさみしい人生のような気がしますが。こないだ母が魚屋に行ったんですけど、その時に「たまにはお宅の男前のあんちゃんに顔ださせてよ」って言われたらしいのね。そしたらいい気分になったようで、買う予定じゃないものまで買っちゃったみたい」
「あれ、フジハラさんちって3人兄弟でしたっけ?」
「うん?2人だけど」
「でもお兄さんは広島でしょ?男前のあんちゃんってだれのことなの?おかしいじゃない」
「え〜と、僕のことだと思われ」
「うっそ〜、それはムダにほめすぎでしょう?でもわかりました、それくらい意味もなく、荒唐無稽なまでにほめるのも可なわけですね」
「…、ひっかかる部分が多々ありますが、概ねそんな感じです」
道路の横に積みあがった雪が道路に崩れ落ちている部分をいくつか通り過ぎながら広島県内、そして広島市内へ。