口裏あわせ2

 

で、いよいよ文字通り山場に入る。これから通る峠の道っていうのがとことん悪路で、キレる人なら1秒でキレるような道なもんで、

「時にお嬢様。お嬢様は短気でございますか?」

「短気ですよ。行列のできる店とかで並ぶ気になりませんから」

「(やばいよぉ。あの道入ったら即キレそうだよ〜。)話は変わりますが、今日迎えに行く前にタイヤ館であるものを買ったんですけど、その時にですねぇ〜」

「え、なに買ったんですか?」

「ETCですけど。」

「(はっ、この車にETCって、あんたってバカぁ?)そうなんですか。私も欲しいんですけど。」

「ETCって取り付けのときにいろいろ工賃がかかるけどそれが#%$#になりましたよ」

「へぇ〜、いいですねぇ〜。でもとりあえず今日オートバックス行ってみてからですね」

「そ〜ですね(いいとものノリで)。」

とか言っていると車は舗装されていなくて、石がむき出しの悪路に入る。

「でね、ETC買ったんですけど(ガタガタ)、ついでに車高を落とすのを(ガタガタ)買わんかって言われたんだけど(ガタガタ)、落としたらこんな道走れんよね。あはは(ガタガタ)はは

(((゚Д゚;)))

「(落とさんでも走れた道じゃねぇっての!!(ガタガタ)(怒))

(((゚Д゚;メ)))

 

ガタガタしながら普通の道にでて、なんやかんややってからオートバックスへ。

で、ETCを見ると値段はタイヤ館と同じ感じでして、

「機械の値段は同じだね。今度タイヤ館の友人に幾らになるか聞いとくわ」

「はい」

 

ということになりまして、日が変わって次の日。

 

「はいもっしぃ〜?久しぶり〜」

「昨日会ったばかりじゃねぇか。どしたん?」

「いやね、ETC欲しいって人がおるんだけど、値段はどうなるん?」

「着けたいっていう人は友達なん?職場の人?知り合い?だったら7000円」

「えっ、マジで?それ高くなってねぇ?」

「で、どういう関係なん?」

「うーん、前の前の職場の人、と言えるような、雲のような、泡のような…」

「なんだやそれは」

「あ〜、ところで、友達や知り合い以外だったら違う値段になるん?」

「友達や知り合い以外ってえと、ひょっとして女?」

「ああ、女性だよ」

「なんだよそれは。女か?って聞いてんのに、女性だよ、ってのは。」

「女かって聞くから女性だよって答えたんじゃん。女イコール女性でしょ。」

「ちげえよ。女なのか?っていうのは彼女なのか?恋人なのか?って聞いてんの!」

「ははぁ、彼女だったら違う値段になりますか?」

「まあ先々週以来女性を連れてこなかったから、珍しいからいいよ。」

「だったらまあそんな感じでよろしゅうたのんまっさ」

「だったらってのはおかしいね。まあいいや。またいいとき来て。カードの申し込みとかもあるし。」

「うん。ありがとう。ほんじゃ」

 

「いや〜、一時はどうなることかと思ったけど良かったわ。くわばらくわばら。そうとわかればさっさと電話しとこか、ってまだ10時か。酒で酔いつぶれておいででしょうから2時以降にかけましょか。でも、今から川本町に見に行く落語が13:30からだから、15:30くらいにETCについて電話するって、途中でメールいれさせてもらいまひょか」

 

「川本ラブ」

「川本町いいわぁ。いたるところに「川本」の文字があって。町を眺めているだけで自然にほほえみがこぼれます。

三瓶を通ってきたけれど、白、赤、緑色の花(あっ、緑は葉っぱか)をちりばめたコスモス畑がきれいでして、マネだったかの絵画を彷彿とさせるものがありました

 

ETCについて長い話がありますので落語終了後、三時半になりますか、電話させていただきます」

 

次へ