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「寒くないですか」
「うんにゃ。あまり感じないんですけど。ちょっと抜けてるかもしれませんね。高校の時には冬をカッターで過ごしましたし」
「へっ?」
「くわしくはコチラ。中ほどに関連する話があります」
読む
「(やっぱあほだ)へぇ〜、そうなんですか」
自販機で何かを買おうか?いるかぼけぇ!とか穏やかな会話を交わしつつ、浜辺への階段DOWN DOWN DOWN♪
「だれもいないっすねぇ〜」
「そうですね」
「さっきもだったけど海の香りが全然しないっすね」
「そうですね」
「…、ひょっとして僕海に飛び込んでいかないといけないわけですか?」
「そうですね」
1人波と格闘しているうち、気が付くとアネ様は階段のところでタバコを吸っていた。
「(やっぱアンニュイだわ)」
「あれ、もう海はいいんですか?」
「あのテトラポットまで泳いでくれんけん暇で暇で」
「前にも言いましたが、僕泳げませんのでご期待には添えそうにありません。すみません」
「それじゃ、行きますか」
「うぃ」
やっぱ寒いわ。えっ、僕寒くないけど。やっぱヨガやってるからですかね、もっと頭が良くなっていたら良かったのにね。…。
ヨガやって
変わりましたか?
結構ね
まっ、良くなって
この程度だけど(苦笑)
などと話しながら階段を登り、車に乗り込む。
ずっと前に夜景がきれいなスポットとして出雲エネルギーセンター付近が紹介されていたので行ってみようと思い立つ。そのため、多伎の道の駅を出て9号線に入ったらすぐ山の中へ入っていく。
「(人気(ひとけ)のないところへ襲おうってのかしらん。顔けわしくなってるし)」
「(トイレ行きてぇ〜)」
それぞれの思いを載せて川本号はゆく。
「前にさ、雑誌で出雲エネルギーセンターのところがキレイだって書いてあったんですよ。でもね、そんなに良くないだろうって思ってたの、島根だしね。けどね、最近仕事で昼に行くことがあったのよ。で、結構見晴らしがよかったんです。これなら夜景もキレイだろうなって思ったので今から行きます」
「そうですか、私、大抵の夜景よりキレイですよ」
「…」
で、昔の日記、手紙についての話をしながらエネセンへの道に入っていく。
「あっ、結構キレイですね、私には負けますけど」
「見えてきましたか、うん、結構いけますね。来る人は道路脇に停めて見てるんですって」
「ほんとですね。アホがいますね」
「…。てか軽トラまでいますね。中身はおばさんとおじさんじゃないっすか」
天辺までに5,6台停まっていた。思ったよか少なかった。天辺で停止。星も見えました。
夜景より
あの星よりも
隣(そば)にいる
あなたの中の
きらめきが好き
↑これを詠みたいがための「ステキな夜空」なのだ。友人に見せたら、
「星、夜景、あなた、というように近づいていったらどうなん?」
って言われましたが、いいポイントを衝いてくるなあと思いました。最初にぱっと浮かんだのは星、夜景、あなた、だったのだけれど、比較するものを夜景、星と大きなもの広げていって、で、急速に近づいていって、そういうものよりもあなた、みたいにしたかったんです。どちらがいいかわかりませんが、ひさしぶりにいい仕事した気がします。
10秒後、降りる。
「どうでした?」
「う〜ん、意外と良かったです。島根で夜景って!(失笑)と思ってましたけど」
「ふ〜ん。島根だと他にどこがありますかね。出雲だったら一の谷公園とか良さそうですね」
「昔宍道の公園からの夜景がいいよって連れて行かれたことがあったんですけど、最悪でした」
「へぇ〜、あっこからだったら特に何も見えんのんじゃない。空港とか田畑とか?」
「です」
「ひょっとするとある一点からだとものすごいいい景色がみえたりするんじゃない?行ってみる?」
「行かなくていいです。違うと思います。自分で言うのもなんですが、たぶん夜景が見えるところに連れて行って、私を口説きたかったんだと思います。」
「ほう」
すっげいことをおっしゃる。また惚れたわ。僕もたいがい自分に強気だけど、さすがに負ける。
あとは順調に帰宅。翌営業日の株価は大幅高。