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と、鉄工所の前に到着、電話。気分を盛り上げるために車のCDを入れ替えると、「東京ブギウギ」が流れてきて、「おっしゃやったるでぇー」感に満たされたところで姉*姉様登場。
「おじゃましまーす」
「どうぞどうぞ」
「あのぉ、大変なことに気づいたんですが、今お金ないんでお金出してもらっていいですか?給料が入ったら払いますんで」
「そんなのもちろんオッケーですよ。2倍返しでお願いします。」
「…」
車は斐川のゆめタウン横の居酒屋に向かう。
「藤原さんって何処の馬の骨でしたっけ?」
「木次ですけど」
「木次っていうと桜くらいしか思いつかないんだけどぉ(高飛車)」
「はあ、すみません」
「で、お家はあの土手のあたりですか?」
「あのあたりから山に入ったところです。土手の横を流れている川に沿って上流に行ったところですね。オロチ湯ったり館って知ってます?」
「えっ、来待のですか?」
「いえ、木次にあるんですけど、そこより山奥です。」
「へぇー。(ボタンをワンプッシュ)」
「それで未だに携帯圏外なんですよ」
「えっ、ドコモでですか」
「はい」
「ドコモで圏外って(失笑)」
「ですよねー(追従笑)」
「でも大阪の友達は家の前にでっかいビルが建っていて圏外になるらしいですよ。あのビルのせいで〜、って怒ってましたよ」
「あ〜良かった、僕の他にも圏外な人がいて。すっごい都会も、すっごい田舎も携帯は圏外なわけですね。僕は圏外なのが頭に来て、取り付け用のアンテナ買いましたもん」
「家に取り付けるやつですか?」
「はい」
「(笑)」
姉「今から行くところ予約していなかったんですがいっぱいですかねぇ」
「いっぱいなら別の所いけばいいっすよ。ふらんす亭とかどおっすか」
「ハンバーグやステーキの店ですよね」
「そうです。ちなみに、前に僕働いていたんですよ。メンバーがみんな面白い人でたのしかったですよ。
それで、祖母を連れて店に行った時があったのですが、ハンバーグセットを食べた祖母が家に帰ってから、
「フランス料理食べてきたわぁ」
って言ったので笑ったことがありました。」
「店の名前がふらんす亭だから間違えたんですね。」
「そうですね。あれ、でもハンバーグってなに料理なんでしょうか?あっ、ハンブルク地方のものだからドイツ料理かなぁ」
「ひょっとして雑学王ですか?」
「うげっ。早速雑学王といわれるとは。1年ぶりにあった友達とべらべら何の気なしに話していた時にも「さすが雑学王」と言われて、(えっ僕ってそういうイメージなの?)ってびっくりしたことがありますが、いや、違いますよ。ほら吹き大王で有名です。ドイツの料理っていうのも口からでまかせですからね。信憑性はないっすよ。」
「雑学王っていう表現嫌いですか?」
「そうですね。なんか役に立たない事ばかり知ってるってイメージがあって」
「じゃあ博識とかっていうのは?」
「うーん。僕ってそういう物知りって方向で自分を売ってないんでそういう風にみられるのは抵抗がありますねぇ。」
行く予定だった居酒屋はいっぱいだったので、とりあえず出雲に向かってハンドルを切る。
姉「何処行きましょうか」
「先ほどもいいましたが、ふらんす亭はだめっすかねぇ。ビールもありますよ。あまり注文は入らなかったですが」
「ふらんす亭ってごはんって感じですよね」
「そうですね」
「私夕食にご飯は食べないんですよ」
「へぇ〜。じゃあやっぱどっか居酒屋ですね」
「かばってどうですか?」
「かばですか。何回かいったことありますよ」
「そうなんですか。安いらしいですが」
「そうなんですかねぇ。よく居酒屋の相場はわかりませんけど、安いかもね」
「じゃあ東証一部の相場はどうなんですか?」
「郵政民営化法案が否決されるっていう可能性を否決が決定する前に市場が折込んでいたので、否決後どんどん上昇し、当面の節目だった12000円をあっさり突破しましたけど、今のところ調整中ですね。今注目しているのは、姉様が鉄工所の令嬢だから言うわけじゃないですが、新日鉄です。1週間で10%くらい上がっちゃいましたのでちょっと買いにくくなりましたが」
「そっ。でもかばには行かれた事があるんですね。」
「そうですね。5回くらいいってもう飽きた感じですかねえ」
「私は一回も行ったことないんですけど。」
「ならいきましょう。僕もまともに行ったことってないんで」
「まともにいったことがないってどういう意味ですか?」
「それは〜、逆立ちしていったりとか、…、運転中に難しい質問しないで下さい」
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