v i s i o n vol,1-3 next 「道徳。いつまで落ち込んでいるのだ。」 燃燈は未だに立ち直れずにいる道徳にあきれていると、さも悔しそうに道徳がボソリと呟く。 「女の子に負けるなんて・・・。」 その一言が微かに太乙の耳に入った。 太乙は今までとは打って変わって勢い良くツカツカと道徳に近寄る。 「今!」 道徳の顔にずいっと太乙の綺麗な顔が迫った。 「え?何?」 道徳は焦って身を反らす。 「だから!今何て言ったのさ!」 綺麗な顔は怒りと不満を表している。 「え…だから、女の子相手に負けたなんて悔しいなって…」 おっかなびっくり答えると太乙は益々不機嫌そうな顔をして道徳に冷ややかに告げた。 「・・・私。男なんだけど・・・・。」 道徳は一瞬聞き間違えかとも思った。 「え・・・男・・・・?」 「男。」 隣りでは玉鼎が苦笑していた。 「道徳。とんだ勘違いだな。まあ気持ちは解かるが。」 それを聞いた太乙は、ぷうっと頬を膨らませて抗議した。 「玉兄まで・・・!最近は男らしくなったって言ってくれてたじゃないか―― !」 「要は中身の問題だ。外見に気を取られてるようじゃ、まだまだだぞ。」 玉鼎の逃げの正論に次の言葉を失った太乙は渋々引き下がった。 「ご・ごめん!太乙・・・悪気はなかったんだ・・・本当に。」 心底済まなそうに謝る道徳を見て太乙もかえってバツが悪くなってきて、慌てて言葉を返し た。 「あ・いや・・・。いつもこんな感じでよく間違えられるからさ!頭きちゃって…もういいよ、 ね・・・顔あげて!こっちが気ま ずくなっちゃうじゃないか・・・。」 いいから顔をあげてよ、と道徳の肩に太乙は手を置いた。 「今回は私が勝ったけど・・・きっと今度は負けちゃうだろうな。道徳が間合いを詰める瞬間に負 けたなって思ったもの。」 「そうだな!今度は負けない!」 今まで項垂れていた筈なのに急に勢い良く言われて太乙は驚いて、 「・・・道徳。君ってさ、結構な負けず嫌いなんだね。」 そう言うと目をパチパチさせた。・・・自覚はある。道徳は黙ったまま、ニッと笑った。 「まぁ。私もその時は新しいカラクリを内蔵した槍で応戦させてもらうからね。悪いけどそう簡単 には負けないと思うよ?」 自信満々に言う太乙の姿を見ながら道徳は思う。 ――負けず嫌いはどっちだよ・・・・。 novel topへ 燃燈と玉鼎は道徳と太乙にお互いの欠けた部分を補完するために。 『相互学習』をさせたかったという設定です。 道徳が20歳前後 で太乙が16歳くらいという設定。 もちろん幹部候補生という立場も同じv きっとお互い他の道士から妬みとかやっかみとかイジメとかも受けてたと思うのですv萌v(え;) ある意味同じ穴のムジナだったと思うのですvvだから結構共感する部分もあるかとv 第2話へ続く・・・。(未更新) |