ツキとすっぽん

 

見つめ合い、どちらからともなく近づき、クチビルを合わせ、離れる。

「私、ずっとこうなればいいなって思ってたんですよ」

「いつくらいから?」

「2ヶ月くらい前からかな」

「僕はもっと前からですよ」

「初めて会った時からですか?ひょっとして、生まれる前からなんていうんじゃないでしょうね」

「(ギクっ)まさか。宇宙が誕生する前からです」

すると、相手はこちらに向かって動き出す。

(しまった、殺される!)

と思って目をつぶったら、さきほどと同じような、けど今度は少しおどけたような感触で、くだらないことをいう口をふさがれた。いつもはクロロホルムを染み込ませた布切れで口をふさがれるのだけれど。今はその時とは別な感覚で、もっとこの瞬間を味わっていたいと思いながら、意識が遠のいていくのを感じていた。

―二度寝の夢 by

 

お嬢様(アネ様から改名)とすっぽんを食べに行くことになるまでの長い道のりをかたらでおくべきか、みたいな感じで、まだ食べに行ってないけど書き始める。

 

時は11月11日の夕方のこと。職場でどっかに飲みに行こうという話をして、じゃあ明日行こう、って結論が出た後に、携帯を見てお嬢様から電話があったことを知る。

 

雨の中外へ出て電話をする。

「もしもし」

「あ、もしもし、こんばんは。仕事終わりました?」

「はい、終わりました。後はお茶を飲んだり濁したりするだけですけど」

「あ、まだ職場でしたら、またかけなおしますが…、」

「いいって、いいって。ほいでもって何でしょう?」

「母がこないだ藤原さんが水を持ってきてくれたお礼せんといけんわって言って、明日食事に行きませんか、って言ってましたが、どうですか?」

「(笑)ちょぉ〜と遅かったですねぇ〜。今さっき職場で飲みに行くって決まったところだったんです。でもちょっと待ってくださいよ。うーん。あ〜、やっぱだめっすわ。ごめんなさい、せっかく誘ってくださったのに」

「いいですよ。こちらも話が急でしたし、ごめんなさい」

「そちらが謝られることないと思います。いつも思ってましたが、お嬢様は気を使いすぎのような気がします。もっと気楽に行きましょうよ」

「わかりました、ごめんなさい、って、あっ!」

「(笑) それで、食事に行くのは来週の週末にしてもらえますか?」

「わかりました」

 

今までの現実離れしすぎたキャラクターが良くないという指摘を受けましたので、今回はあまり創作を入れずにやっていこうという感じです、最初の方は。

 

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