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―何故君はそれが嘘だって言えるんだい?まあ嘘なんだけど(苦笑)
―日登村民
店内に入る。
「実はこの店には前にふらんす亭で一緒に働いていた人がいるんですよ」
「へぇ〜、どこですか?」
「こないだは入るとすぐ出てこられたからホール担当だと思うんだけどね。…、いないねぇ。まけてもらったりサービスしてもらおうかと思いましたが残念です」
「藤原さんが来たとわかって中に引っ込まれたんじゃないですか」
「あ〜、そうかも」
というわけで若い女性に案内されテーブルへ。
「実はここって2回追い返されたことあるんですよ」
「えっ、態度が悪いからですか?ドレスコードに引っかかったんですか?頭が悪いからですか?」
「いえ、単純にラストオーダーの時間を過ぎていただけなんですけどね。実際に食事したことは2回あります」
「へぇ〜」
「でさ、最初ふらんす亭の店長していた人と一緒にきたんですけど、そん時に3時くらいだったのでドリンクだけ飲んで帰ろうってことになったんですね。で、オレンジジュースとか飲むのもどうかなあと思うし、かといってコーヒー、紅茶はカフェイン的にだめだし。せっかくおしゃれな店にきたんだからノンアルコールのカクテルでも飲んじゃろうかと思って、いろいろ見てたんですが、モカジェリーズというやつの説明が、なんか“シアトル系でなんとかかんとか”と書いてあって、「あ、かっこいいな」、と思って頼んだんですが、…」
「てか、それってコーヒー入ってるんじゃ?モカとか名前に入ってるし」
「あっ、わかります?僕なんて頼んで一口飲んでからようやくわかったんですけど、さすが賢明なるアネ様」
「いやあ、まあ、それほどでもあるよ」
「ぼくはコーヒーとは縁遠いんで、モカっていってもコーヒーなんだと分かりませんでしてね。まあ、結局最後まで飲みきったんですが、その後大変でした。その友達としばらくそこらへんをまわったんですが、猛烈にトイレに行きたくなって行ったんですよ、出雲ドームのとこでしたか、で、アネ様もよく使用なさっていてご存知だとは思うのですが、念のため説明しますと、男性トイレ小用便器の前に立つとこっちがいることを感知して、用を足し終わって離れると自動的に水が流れるんです。で、便器の前に立ち、用を足し始めたわけですが、ものすごいたまってたみたいで、すごい長かったんですね。別に前立腺が肥大しているわけではなく。そしたら、全てを出し終わる前に体を移動させていないのにもかかわらず水が流れ始めたんです。常人の小用時間の上限を超えての利用だったのでしょうね。あれはびっくりしました。」
「いまから食事なのに、んな汚い話するなっての!」
バシャッ(コップの水を掛けられた音)
「水もしたたたる、い、いい男みたいなぁ」
「いえてねえし」
で、注文を取りに来られたので「アモーレ」っていう二人前の料理を取り分けて食べるのを頼んだ。サラダ、パスタ、ビザ、デザート、ドリンクで、デザートは2皿だった。
「あの〜、ドリンク付いているんですが、カクテルも頼んでいいですか?」
「いいですよ。でもビールもありますけど、ビールじゃなくっていいんですか?」
「せっかくこういう店にきたんで、かわいく行きたいなって思うとんじゃが」
「あ、そうですか、かわいく、ですか。かわいく、ね。よろしくがんばってください」
なんてね。こういうセリフには弱いねぇ。8ヵ月前には「アップルティーが似合う女性になりたいです」って言葉を聞いて、
アップルティー
似合う女に
なりたいな
甘い感じの
かわいい感じの
っていう短歌を思わず詠んでしまったくらいです。注文が終わってからこんな質問を
「ここって禁煙ですか?」
「はい」
バキ(フォークを折る音)
しばらくするときまぐれサラダ登場。
「多くの店に普通においてありますが、きまぐれサラダってなに?キッチリ作ったらんかい!!みたいな〜?何事もキッチリしていないと気がすまない僕は思うんですが」
「はーん」
おすすめパスタ登場。
「パスタの内容は聞いてたけど、ピザってなんだったけ?」
「さあ、聞かなかったですね」
と、おすすめピザ登場。
おすすめの
ピザなんだろう?
期待のせ
出て来たピザは
カレーのせ、ナンだった(字あまり過ぎ)
ピザって言うか、ほんっとナンだった。ん?僕ってナンを食べたことあったっけ?前世の記憶か。
「たくさん食べてくださいね。」
って言われてたくさん食べたらデザートをほとんど食べることのできない体になってしまった。
あと、いつものことなんだけど、まだ食べきっていないうちに皿を当然のように下げていこうとされてしまい、
「ちょっと待ってください」
ってとめる場面が2回もあった。店員が失礼なんじゃなくって、普通の人の目から見ればもう下げていい状態ではあったわけですが。
「最近株どうですか?」
「劇ヤバです。先月末から一時20万円くらい下がりました。今は先月末比で10万マイナスくらいでしょうか」
「早く儲けてバーキン(100万)のバッグ買ってくださいね」
「あーい」
「でも私にはどこの株がいいかとかまったくわかりませんよ。」
「うーん。だれにもそれはわからんとは思うけどね。まあ何も知らずに暮らすのもいいものですよ。半端に知っていて大やけどをするよりも、ね」